メイキング事例紹介 ユニバーサルカラーに対応したデザイン
弊社のデザイン業務の一つに自治体などで発行するプレミアム商品券の制作があります。
年齢、性別、障害の有無など全ての多様な方々に使用していただく、プレミアム商品券はユニバーサルカラーを意識したカラーリングが求められます。
加齢、先天的な色覚異常、病気や事故の後天的な目の疾患などにより、一般の人と色の見え方が異なる人は日本全体でも約500万人以上いるとされています。
たとえば、一般的な色覚を持つC型の人が見えやすいように作られた、赤と緑の配色の商品券が、P型、D型の色覚を持つ人には非常に見えづらい配色となり、誤って使用してしまうことにつながります。
反対に、黒地に青文字を乗せるとC型の人には見えにくく、P型、D型の人には見えやすいといった側面もあります。
こうした多様な色覚に対応するために、色の組み合わせや明度などを工夫したデザインが、ユニバーサルカラーデザインです。
今回は実際にどういったところを工夫しているか、メイキング事例とともにご紹介いたします。
色覚タイプの分類
- C型 一般色覚者 0型・・・ 一般的なタイプ
- P型 色弱者 1型・・・赤色を識別しにくい
- D型 色弱者 2型・・・赤・緑色を識別しにくい
- T型 色弱者 3型・・・青色を識別しにくい
- A型 色弱者・・・色を識別しにくい
避ける配色
プレミアム商品券には、共通券や専用券など店舗ごとに使える商品券の種類を分ける場合があります。その場合、2種類の商品券の見分けやすさをつけることが大切になってきます。
P型やD型の場合は、暖色同士や寒色同士の配色に見わけづらさを感じることが多いです。寒色系では、緑、黄緑、青緑などが全て同じような色に見えてしまう特性があります。
下記の図1は、同系色でプレミアム商品券を制作したNGの例です。 緑とピンクの2種類の商品券の違いが非常にわかりづらいです。また強調する目的で、利用期間を赤文字にしましたが、特にD型では効果を発揮していません。黒文字の中に強調を意味する赤文字も、特定の色覚タイプの方にとっては識別しづらい配色と言えます。
文字の見やすさの決めては明暗が大事
NGの例をもとに再度配色を修正していきます。明度を変えた暖色と寒色の組み合わせを使うなど、色の明度に差があれば、より区別しやすくなります。下記の図2は、修正を加えたものになります。
モノトーンの明度の違いで強調を表すことも方法の一つです。また強調したい箇所に下線を引いたり、文字にアウトラインを引くセパレーションも可読性を高めることができます。
Adobe Illustratorでシミュレーション確認
カラーリングができたら、Adobe Illustratorの「表示」メニューの中の「校正設定」から「P型(1型)色覚」と「D型(2型)色覚」を選択し、シミュレートし調整していきます。
数パーセントの色の違いが見やすさの多様性を作り出すので、シミュレーションを繰り返し行い、確認していきます。
今回は弊社のデザイン業務の中のユニバーサルカラーを用いた、メイキング事例をご紹介いたしました。
上記でご紹介した以外にも、Webサイトやチラシなど、ユニバーサルカラーを取り入れた販促物を制作しています。まずはお気軽にご相談ください。